今回萬Z3rdのジャケットデザインとPV制作を手掛けてくれたのは、かねてから僕が大ファンだった「蛙男商会」のFROGMANという人である。今日はこの孤高の、僕が愛して止まないスラップスティック風味満点のクリエイターについて述べてみたい。
彼は昨年、「菅井君と家族石」というシュールなパロディFlashアニメを監督・制作・アフレコなど全行程を一人で仕上げ、ネット界を震撼させた。
その事をいちはやく察知した新星堂が(ブレイク工業の時もここがまっ先に手を挙げてくれました)DVD商品を店頭で販売開始、瞬く間に初回プレスが完売、さる4/15に再版でまたまた販売開始したという、ネット媒体で話題になったという点から見れば、恐れながらも僕と相似した経緯をもっているクリエイターである。
と、ネットでお馴染みの「菅井君」であるが、僕がかねてから「この人と一緒に何か作品を創れたらいいなぁ」と思っていた気持ちを、さらに「絶対彼と作品を創る!」という執着心に変えさせた、決定打とも言える作品がある。彼の「雨が嫌いな男の話」という作品だ。
これを見て思った。この人、タダモノじゃないなと。
是非御覧になって頂きたいので詳細はここでは触れないが、僕はヘミングウェイの「老人と海」や映画「ショーシャンクの空に」を見た後のような、小さいけれど、ひっそりとある、「人間の幸せのかたち」をそこに見たような気がした。
僕はこの「押し付けがましくない」感じに、憧れを持ったのであろう。逆立ちしたって絶対にこういうものが出来ないから(笑)。
この作品によって、彼のパロディがただの「オアソビ」や「コラージュ」ではなく、「愛」という無上の「人間の幸せのかたち」で出来ている!と僕は確信したのである。
「パロディ」と「シリアス」がしっかりと同一線上に敷設されていると思ったのだ。
この人はデキル!。
早速石川にこの一連の僕の「衝動」を連絡。感化されやすい彼もすぐにファンに(笑)。そして、今回萬Zシングル制作に御協力をしていただきたく打診。すぐさま快諾を頂いた。
先月3月に「霊峰マウンテン」のPV撮影で初めてお会いした時は、キング・クリムゾンのライブに行った時以来の心拍数の上がりようだった(^^)。緊張して言葉が出なかった。
「あばばばばばば、はじはじはじ、はじめまして」
まるでアイドルにでくわしたような感覚だった。
で、第一印象なのだが、「あ、もしかしてmanzoさんですか?」と第1声を聞き、まず声がいい!と。細川俊之さんの甘さと森山周一郎さんの武骨な感じのいい所を足して2で割ったような声質であった。僕が女なら、声で先ず惚れてしまうだろう(笑)。
風貌はテレビ業界に10年以上携わってきた貫禄と自信が感じられ、職人気質の頼りがいのある感じだった。しかしそれより僕が驚いたのは、そういう「現場主義」の業界に多年に携わっていたとは思えない、「ルーチンワークで無い部分の、モノ創りに関するナイーブさ」を持ち合わせてた所だった。「当たり前」を「当たり前」で終わらせない、モノ創りに対する丁寧さである。
5時間にわたる撮影も終わり、TETTA、僕、FROGMAN氏、カメラマン伊藤氏、ドングリソフト竹内氏でその後会食をしたのだが、これだけの功績があるのにまことに謙虚で、シャイな人だった。また「エンターテイメント的インテリ」でもあって、「博学」というよりも「豊かな知性」を感じた。僕は彼の後塵を拝するしか手立てが無かった(^^;
今度彼が製作する「古墳のコフィー」というアニメの話に及んだ時などは、「世界の墓」というお題目で延々と「お墓論」を彼は述べていて、僕とTETTAはただただ感心したり腹をよじったり。だいたい「古墳」という、古式ゆかしく、果てはナショナリズムをも揺るがしかねない題材をコミカルに昇華させようとしている事でも唯一無二だと思うが、それに真剣に取り組んでいる姿を見て、また再び襟をただされる思いに駆られた。
パロディーもシリアスも、やはり骨子が重要なのだと。僕の場合は「楽曲」、彼の場合は「脚本」だ。そして骨子よりも更に重要なのが「その事象に対する『愛』」だと。
そしてその時思ったのだ。何故僕が好きになるクリエイターに照れ屋な人が多いかが。
普段愛を語らない、いや、語れない、そういう人の、その不器用な思い。
それを、「作品」というモノに、時にコミカルに、時にシリアスに刻んで行く姿に、その人生の「ツヤ」を感じるのだ。「人間としての色っぽさ」だ。
黙して語らず。
真実とは、シンプルなもの。言葉はそんなに要らないんだよ・・・・。
↑はっ!!!
何だこの無駄な活字の連続は(ToT)
冗舌が過ぎたので、ちょっと反省の意味も込めて、サブタイトルの「冗談と本音の向こう側」に、一体何があるかという僕の見解を述べたいと思う。
と、ここまで書いた瞬間にFROGMANさんが僕の脳裏を掠めた。
あの、いい声色で、僕に優しく、こう諭すのだ。
「それを言っちゃったらつまんないですよ。つまんないより、おもしろい方向で行きましょうよ、manzoさん」