高校時代、プログレッシブ・ロックの持つ哲学性観念性から抜け切れず友人も次第に僕から離れて行きw、批判精神と変拍子だけが僕に残ったとき、小学生時代からの友人M氏からザッパの存在を知った。
ザッパの音楽は見事に「プログレッシブ(進歩的)」でありながら、陰鬱ではなかった。それはアメリカという土壌の所為か、恐ろしくアッパーでトリッキーでエキセントリックだった。大阪にも似た陽気さ。
感情のベクトルが明らかに外に向いているものばかりだった。
彼の音楽を知った頃から、段々友達が以前のように増えてきたのは全く無関係だったのだろうか。
また彼の作品は歌詞がスゴイ。何でもあり。品性下劣のオンパレードだ(笑)
変拍子で肛門の事を浪々と歌うわ、ディスコビートに乗せてゲイの事を楽しく歌うわ、生理用品の歌も歌うわ、うんこ、ち○こ、おっぱいなんて文言も盛り沢山だわ(笑)。
しかもそれでいて社会風刺もかなり盛り込まれている。
「何でも歌にしていいんだなぁ」と当時目からウロコだった。
しぜん僕が大学時代にコミックバンドを結成するにあたり大いに影響を受けたのは言うまでもない。
さてオススメ曲紹介。
インカ帝国に降り立ったUFOをテーマにした、もうすでにテーマ自体がトリッキーなm-1「Inca Roads」。6'34''〜高速7/8拍子でのジョージデュークのMoogとRhodesのソロは鳥肌立ちます。これでライブだって。キチ○イですよこの人たち。マリンバが猟奇的なサウンドに一服のファンシーさを降り注いでいる。ザッパサウンドの大きな特徴である。
m-4「Po-Jama People」ロートーンのザッパのボーカルが卑猥ですごくカッコイイ。彼お得意のR&B風味の曲だが、布陣のせいか若干フュージョン色があるのが心地よい。
m-8「andy」これまたポップで聞きやすいオススメ曲。
冒頭メロディー[Eb][E][Eb][Db][B]の部分が非常に彼の個性が窺える5連符の用い方だ。他の楽曲でも彼は意図的に5連符を多用してるものがあり、彼ならではである。しかも5連符は演奏難易度が高い。僕は5文字である「ゆきだるま」「ゆきだるま」と言いながら運指練習したものだ。
というわけでこのアルバムもまた、発表から30年以上経った今でも全く古くならない作品である。結局「フランク・ザッパという一つのフォーマット」が「すべてにあてはまる」事を体現したアルバム。
One Size Fits All。